焼き肉店の生肉 国の衛生基準を守って出荷された牛肉はない女子供、年寄りは食べるべきでない。

焼き肉店集団食中毒:食中毒多発、生肉は危険

◇衛生基準順守は馬肉のみ 処理場での除菌も不十分
富山、福井の焼き肉店で生肉のユッケを食べ、
4人が死亡した集団食中毒。生の牛肉は広く提供されているが、
厚生労働省によるとそもそも、国の衛生基準を守って出荷された牛肉はない。
グルメ志向と日本独特の生食文化が土壌となった事件。

今こそ、食中毒の怖さを知っておきたい。

食中毒の原因は腸管出血性大腸菌O111だった。
腸管出血性大腸菌は家畜の腸に生息し、
解体する時に肉の表面に付着して流通すると食中毒の原因となる。

この菌による食中毒は
昨年、27件で患者数358人だった(厚生労働省調べ)。

食中毒の総数1254件の2%だが、
病院の受診患者なども集計した国立感染症研究所の調べでは
3000~4000人もの患者がいるという。

主な原因はユッケなど生の牛肉だ。
厚労省は96年に牛の生レバーで起きた病原性大腸菌O157の食中毒事件を受け、
98年に「生食用食肉の衛生基準」を策定、
食肉処理場や飲食店に対し、

「肝臓(レバー)を取り扱う場所は他の内臓の取扱場所と明確に区分する」
「(大腸菌の付着が考えられる)肉の表面は専用ナイフで削り取る(トリミング)」
などを守るよう通知した。

ところが、衛生基準を守っているのは馬肉だけ。
全国約150カ所の食肉処理場で国の基準を順守して
生食用の馬肉を出荷しているのは
青森、福島、長野、熊本など12カ所しかない。

牛肉は生で食べられる状態で出荷されていないのだ。
生の鶏レバーや半生の鶏ワサで食される鶏肉は、基準すらない。

馬刺しを提供することの多い熊本市では、
市食肉センターが独自の厳しい衛生管理マニュアルを作っている。
担当者は
「確実なトリミングや包丁の熱湯消毒など、厳しい基準を守る必要がある」と話す。

◇ ◇

基準外の生肉が流通する事態に、専門家は警告を発していた。

「腸管出血性大腸菌による食中毒患者は、減少していない。生食は避けてください」。
今年2月4日、「生食と安全性」と題した特別シンポジウム(日本食品衛生学会主催)
で渡辺治雄・国立感染症研究所所長は強く訴えた。

内閣府食品安全委員会も昨年4月、
「牛肉を生で食べるのはひかえること」とホームページで呼びかけていた。

腸管出血性大腸菌は馬より牛のほうが数が多い。
食品安全委によると、家畜処理場に運び込まれた牛の約10%が、
O157など腸管出血性大腸菌をもつ。
牛肉への平均付着率は0・1~0・2%、
最も高い牛レバーは1・9%だ。

さて、牛肉で馬肉並みの衛生管理はできるのか。
唐木英明・東京大名誉教授(獣医師)は
「生食用の馬の解体や加工は病院の手術室のようなところでやっている。
同じことを牛でやれば労力と費用がかかり、生肉の値段のアップは避けられない」と話す。

焼肉酒家えびすはユッケを1皿280円で提供してきた。
安価なのには理由があったのだ。

また飲食店内で、肉に付着した大腸菌を除去し、
他の食材に移さないようにするには相当の配慮が必要だ。
食品の衛生管理の実情に詳しい土肥由長・二葉栄養専門学校教授は
「生肉を扱うのに、菌を分析する装置を備えていない店もある。
生肉にさわった手でサンドイッチを作る例もある」
と話し、業者が衛生への意識を高める必要性を指摘する。

消費者も十分な警戒が求められる。
東京都食品監視課は
「肉の表面を削っても、完全に菌が取りきれるわけではない」と述べ、
生肉は基本的に危険との意識を持つよう呼びかけている。

◇ ◇

食肉処理場も衛生面での改善が必要との声もある。
米国では80年代前半にハンバーガーを食べた子供たちが
O157で死亡する事件があり、
以後、処理場では高圧の蒸気などを枝肉の表面に吹きつけ菌を
除去する方法が取られている。
宇宙食の安全を確保するために始まった
HACCP(ハサップ=危害の重要管理点で検査・記録を徹底する方法)
といわれる衛生管理システムの導入も義務づけている。

しかし、日本の処理場で米国並みのハサップシステムを
導入しているのは4カ所(厚労省)だけだ。

「日本ではいまもBSE(牛海綿状脳症)の検査に人手が割かれ、
検査結果が分かるまで枝肉はぶらさがったままでその間、
菌の繁殖を許すことになる。
もっと病原菌の除去対策に人員配置を優先させた方がよい」。

一色賢司・北海道大大学院教授(フードチェーン保全学)はそう訴え、
人への感染リスクがほぼなくなったBSE検査より、
病原菌対策を優先する時期に来ていると指摘する。


◇調理の際の注意点
牛以外では、生の鶏レバーやささみに多いカンピロバクターによる
食中毒が毎年500件前後ある。

下痢、腹痛のほか、まれに呼吸困難や運動神経の障害を伴う
ギランバレー症候群を発症することもある。

食中毒から身を守るには生食を控えるしかないが、
殺菌が十分でないとサラダで感染することもある。
調理の際はどんな注意が必要なのか。

食品のリスク評価に詳しい関澤純・元徳島大教授は、
次の点を守るようアドバイスしている。


<1>75度以上で1分間以上加熱する
<2>調理後すぐ食べる
<3>まな板は食材ごとに洗い、肉にふれた包丁は必ず洗ってから野菜を切る
<4>生食用の野菜はよく洗う
<5>乳幼児やお年寄りは生食を避ける


◇腸管出血性大腸菌
強い毒素を出す大腸菌の一種。
腸管で出血を起こしたり、腎臓の機能を悪化させたりして、
下痢や腸炎を生じさせる。
一般的に大腸菌には表面にO型の抗原(抗体をつくらせる物質)があり、H型もある。
111や157の数字は発見された順番で、
O型が一番数が多い。主に牛、馬、豚などの腸管にいるが、
昆虫のハエ、井戸水や泥水からも見つかる。加熱すれば死ぬ。

ソース詳細
毎日新聞 2011年5月11日 東京朝刊
前記事>>無理なコスト削減で無責任な外食産業 恐怖の焼き肉店 生肉食中毒4人死亡

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